次世代育成オフィス(ONG)は日本航空株式会社(JAL)と共同研究の一環として、中学生・高校生を対象とした「飛行機ワークショップ2020~みんなが作った路線に飛行機を飛ばしてみよう!~」を3月14日(日)、21日(日)に開催した。
本ワークショップは2016年から実施し今年で5回目を迎えた。これまでは秋開催の土日2日間に対面型で1日目にJALメインテナンスセンターの見学実習、2日目に本所にて講義と実験実習を行ってきた。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響により、2020年度は初めてオンラインによる一日完結型で開催した。オンラインの特性を生かした構成により対面型よりも多く、中学生クラス53名、高校生クラス43名、計96名に参加いただいた。
「みんなの作った路線に飛行機を飛ばしてみよう」というテーマで、大学における最先端の研究成果が社会でどのように活用されているのかを知っていただく機会として企図した。今回初の取り組みとして、YouTubeを活用したビデオ教材による事前学習と当日のオンラインでの講義と、オフラインで参加者自身が課題に取り組んで考えてもらう時間を設定した。参加者はマクロを組み込んだExcelデータ上で5つの要素の条件を変更することにより、参加者なりのベストな航路を検討した。
本所の本間 裕大 准教授、長谷川 大輔 助教による事前学習ビデオの視聴と事前課題に始まり、提出課題の内容を受けて、ワークショップ当日の午前中の講義では、課題内容と数理モデルを活用した航路シミュレーターについて本間准教授、長谷川助教から解説があり、参加者からの課題紹介の時間も設けた。
午後からはJAL運航本部運航基準技術部の佐藤泰斗さん、猪端沙希さんによる航路のマメ知識解説と普段は見ることのできないJALの運航管理をしているオフィス内の様子も見せていただき、後半には現役の機長である大畑 博史 キャプテンとの「悪天候時のゴーアラウンド(着陸復行)」という設定でのディスパッチャー(運航管理者)模擬体験が行われた。最後には、広報部担当部長(安全担当)の落合秀紀さんと次世代育成オフィス室長の大島まり教授から航空会社は利益を最優先でなく社会的インフラとしての重要な機能があること、安全を最優先に日々最適な航路を検討し運航されていること、社会における正解は一つではないことが伝えられ、本ワークショップは締めくくられた。参加した中学生・高校生は飛行機や運航管理者、パイロットの職業としての関心も高く、質疑応答ではチャット上にも多くの質問が寄せられた。また、オンラインでの実施であったため、参加者の保護者も同時に視聴されており、アンケートやメールでは、保護者の方から大変高い評価を頂いたことは、オンライン実施による予期せぬ効果であった。
JAL、ONGでは、今回のワークショップをきっかけとして、オンラインを活用し従来の学びとは異なる新しい学びの場の提供を今後も検討していきたい。
本間准教授による講義の様子
現役パイロット大畑キャプテンによる説明の様子